実は勝山剣光堂だけでない刀剣業界事情
興味深いブログ記事を見つけましたので紹介します。2014年12月3日付となっており、勝山智充受刑者が一連の事件で最初に逮捕された日より1年半ほど前のものですが、勝山剣光堂のような刀剣業者は、まだまだ他にもあることをうかがわせる内容となっています。
「私が住んでいる地方には刀屋が多い」というブログの運営者は福井の人ではなさそうですし、このブログ記事を書くにあたって勝山剣光堂を意識したわけでもなさそうですが、それにしても、ここに描写される悪徳刀剣商のありさまが勝山剣光堂とそっくりであることには驚きを禁じ得ません。
悪質なのは昭和40年代(1965~1975年)から店を張り、今もやっている刀屋どもだ。二代目も育ち、親子でやっている所が多い。
昭和40年代から刀屋を始めていれば創業四十年ちょっとだから、老舗と呼べるかどうかは微妙だ。だがそうした刀屋は刀だけでビルを建て、刀剣業者の組合では優良刀剣店のお墨付きを得ている。
勝山剣光堂が株式会社として登記されたのは昭和35年(1960年)。四捨五入しないと昭和40年代に含めることはできませんが、初代の社長(勝山智充受刑者の父親)の在任中に4階建てのビルを建てており、それを現在も店舗兼住宅として使用しています。それはさておくとしても、注目すべきは次の部分でしょう。
この時期に刀屋になった連中は偽物や疵・欠点のある低級な刀を平気で売り、暴利を貪った。それを今でも続けているのだ。一度売ったら返品不可。苦情には一切応じない。文句を言えば客の方が悪者にされる。営業妨害、名誉毀損で訴えると脅される。客は泣き寝入りするしかない。
またこうした連中は刀身の小錆や拵・白鞘のちょっとした修繕は自分達でやっている。それは別に構わないが、「研ぎ・諸工作承ります」と大きく看板に掲げ、電話帳にも載せている。素人が刀を嬲(なぶ)って金を取っているのだ。完全に詐欺である。自分達の手に負えない作業は職人に回すが、客が職人に直接依頼するのに比べ大幅な料金が加算される。
つい最近もビルの地下街で店を張っている「老舗」刀剣店に研ぎを頼んだら家庭用研磨機で磨かれてしまったという嘘のような本当の話を聞いた。こんな詐欺同然の商売が今だに横行しているのだ。
まさに勝山剣光堂そのものでしょう。勝山剣光堂にあって、ここに欠けているのは業務上横領、銃刀法違反、強制執行行為妨害といった刑事罰の対象となる行為だけではないかと思います。
どうやら勝山剣光堂は、刀剣商としては(突出している部分はあるにせよ、基本的には)類型的な存在になるようです。だとすれば全国刀剣商業協同組合のような団体が勝山剣光堂を批判したり排除したりすることが不可能な理由にも説明がつくでしょう。収監前の勝山智充受刑者には出所後の業界復帰を前提とするかのような行動が観察されており、今さらながらに関係各方面をあきれさせているのですが、その背後には、こうした業界に特有の事情があるのかもしれません。
なお、ここで紹介したブログの運営者は「勿論全ての刀剣商が悪徳業者ではない。まともな業者も多数存在する」と最初に断っていることを申し添えておきます。
出典
https://blog.goo.ne.jp/ice-k_2011/e/9899f9165899eaca95e327990a74cf68