勝山剣光堂ニュース


インターネットで集客する刀剣修理業者について

勝山剣光堂ニュース 2018年08月14日


勝山剣光堂と同様「文化財」「伝統」「武士」などの言葉で自分を飾り、軍刀の取り扱いをうたってインターネットで集客を行う刀剣の修理業者にご注意ください。勝山剣光堂ほど悪質ではないようですが、問い合わせのメールを出すと、現物を見るまで何も言えないとの返事をよこし、とにかく品物を送らせようとする点や、品物を受け取ると、今度は依頼者側に刀剣の市場価値に関する知識が欠けていることを激しく非難するメールを送りつけ、質問には答えず、それが「崇高」な「武士の伝統」だと称して自分にとって都合のよい取引内容を一方的に押しつけようとする点は勝山剣光堂と極めてよく似ています。

インターネットで検索をして、こうした業者に行き着くのは、さまざまな理由で急に刀剣の所有者となるなど、刀剣のことには詳しくない人たちがほとんどでしょう。当の業者自身、意図的に敷居を低くして集客を行っているように見受けられますが、裏を返せば、玄人筋が、こうした業者を利用する可能性はまずありません。その結果として、もともと刀剣に関する知識が、あまりない人を狙い撃ちにして食い物にするビジネスモデルが出来上がっているものと考えられます。

問題の業者から、ハバキを作り直す必要があるが、今あるハバキを原料にするので、通常の料金より値引きをするとの説明を受けた人がいます。ところが、そうやって新たに作られたはずのハバキは、別の刀に使われていたものの使い回しで、元からあったハバキよりも、だいぶ価値の低いものでした。かなり日数が経過してから刀剣に詳しい人の指摘で発覚したものですが、こうした巧妙な手口により、だまされていることに気がつかないままの人は少なくないと考えられます。

魅力的なウェブサイト、良さそうなことが書かれているブログ、そして在宅で取引が完結する手軽さの裏に、こうした落とし穴が仕掛けられていることには十分な注意が必要でしょう。実際問題として、刀剣に詳しくない人はインターネットでの取引には向かないのです。現物を目の前に置いて自分の希望を伝え、何が可能かを教えてもらい、依頼内容を具体的に詰めていく過程が不可欠です。また、依頼者側の希望を十分に聞き出した上で、現実的かつ適切な選択肢を提供することは刀剣の専門家の重要な役割の一つでしょう。そうした手順を大幅に省いたインターネットの刀剣修理は、いろいろなことがよくわかっている玄人向けでないとすれば、あらかじめ業者側の都合を押しつけるために仕組まれた詐欺ないし悪徳商法と言って差し支えありません。

他の業界と同様、刀剣業界においてもインターネットを通じた取引は今後、盛んになっていくものと考えられます。それにつれて公正な取引を行うための仕組みが整備されることに期待をするものですが、現状のインターネットは勝山剣光堂を典型とする悪質刀剣業者の温床です。おそらくは、もともと何か問題があって普通に仕事をすることの難しい業者がインターネットを使って「伝統の継承者」になりすまし「武士」に化けているのでしょう。そのことには十分な注意が必要です。


備考

独自記事。「お知らせ」より転載。

追記(2018年8月17日)

当該業者は最近「伝統の担い手」として新聞や雑誌に取り上げられる機会が増えているようです。しかし、ある著名な刀剣の専門家に聞いたところ、そんな人は知らない、聞いたことがないとのことでした。何かうまい方法を使って自分をマスコミに売り込んでいるものと思われます。おそらく新聞社・雑誌社の人は、この業者の背景を取材したり、実際にこの業者に刀剣の修理を依頼したことのある人を自力で捜し出し、取材をするといった労は執っていないものでしょう。そうしてなされる報道がこの業者に誤った信用を与え、それが被害を広げる結果につながることに懸念を抱かずにはいられません。