勝山剣光堂ニュース

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ホーム > 平成30年(2018年) > インターネットで集客する刀剣修理業者について

インターネットで集客する刀剣修理業者について 

勝山剣光堂ニュース 2018年08月14日
 

 
勝山剣光堂と同様「文化財」「伝統」「武士」などの言葉で自分を飾り、軍刀の取り扱いをうたってインターネットで集客を行う刀剣の修理業者にご注意ください。勝山剣光堂ほど悪質ではないようですが、問い合わせのメールを出すと、現物を見るまで何も言えないとの返事をよこし、とにかく品物を送らせようとする点や、品物を受け取ると、今度は依頼者側に刀剣の市場価値に関する知識が欠けていることを激しく非難するメールを送りつけ、質問には答えず、それが「崇高」な「武士の伝統」だと称して自分にとって都合のよい取引内容を一方的に押しつけようとする点は勝山剣光堂と極めてよく似ています。
 
インターネットで検索をして、こうした業者に行き着くのは、さまざまな理由で急に刀剣の所有者となるなど、刀剣のことには詳しくない人たちがほとんどでしょう。当の業者自身、意図的に敷居を低くして集客を行っているように見受けられますが、裏を返せば、玄人筋が、こうした業者を利用する可能性はまずありません。その結果として、もともと刀剣に関する知識が、あまりない人を狙い撃ちにして食い物にするビジネスモデルが出来上がっているものと考えられます。
 
問題の業者から、ハバキを作り直す必要があるが、今あるハバキを原料にするので、通常の料金より値引きをするとの説明を受けた人がいます。ところが、そうやって新たに作られたはずのハバキは、別の刀に使われていたものの使い回しで、元からあったハバキよりも、だいぶ価値の低いものでした。かなり日数が経過してから刀剣に詳しい人の指摘で発覚したものですが、こうした巧妙な手口により、だまされていることに気がつかないままの人は少なくないと考えられます。
 
魅力的なウェブサイト、良さそうなことが書かれているブログ、そして在宅で取引が完結する手軽さの裏に、こうした落とし穴が仕掛けられていることには十分な注意が必要でしょう。実際問題として、刀剣に詳しくない人はインターネットでの取引には向かないのです。現物を目の前に置いて自分の希望を伝え、何が可能かを教えてもらい、依頼内容を具体的に詰めていく過程が不可欠です。また、依頼者側の希望を十分に聞き出した上で、現実的かつ適切な選択肢を提供することは刀剣の専門家の重要な役割の一つでしょう。そうした手順を大幅に省いたインターネットの刀剣修理は、いろいろなことがよくわかっている玄人向けでないとすれば、あらかじめ業者側の都合を押しつけるために仕組まれた詐欺ないし悪徳商法と言って差し支えありません。
 
他の業界と同様、刀剣業界においてもインターネットを通じた取引は今後、盛んになっていくものと考えられます。それにつれて公正な取引を行うための仕組みが整備されることに期待をするものですが、現状のインターネットは勝山剣光堂を典型とする悪質刀剣業者の温床です。おそらくは、もともと何か問題があって普通に仕事をすることの難しい業者がインターネットを使って「伝統の継承者」になりすまし「武士」に化けているのでしょう。そのことには十分な注意が必要です。
 

 
左:弓道を披露する勝山智充被告
右:居合を披露する当該業者
 

備考

「お知らせ」より転載。


追記一覧

  1. マスコミ報道は要注意(2018.08.17)
  2. ウェブサイト閉鎖か?(2019.04.21)
  3. 実は骨董業者だった?(2020.01.19)
  4. 新ウェブサイトは通販機能なし(2020.07.07)
  5. 海外進出?(2020.12.12)
  6. 出自は武家?(2021.02.23)
  7. 刀剣修復家? 刀剣修復士? 刀剣修復師?(2021.05.07)
  8. 古物商許可番号を自ら公表(2021.05.09)
  9. 刀剣買い取り業者と業務提携!(2021.06.17)
  10. 古文書に精通?(2021.06.21)
  11. 全ての工程を1人で仕上げる数少ない職人?(2021.06.22)
  12. 刀剣修復の意味(2021.06.24)
  13. 随筆の中身(2021.06.26)
  14. 多能の拵師から万能の刀剣修復家へ(2021.07.01)
  15. 私の目標は真実の探求、ただそれだけなんです(2021.07.03)
  16. 腕時計の復刻は日本刀の修復に通じる?(2021.07.05)
  17. もっと即席の変身でした(2021.07.07)
  18. やはり古文書の話は怪しい(2021.07.09)
  19. 所属団体について(2021.07.11)
  20. 二度と伝えるな詐欺と横領の屁理屈(2021.07.13)
  21. 万能の刀剣修復家は全能の神の使い(2021.07.17)
  22. うそとパクリの伝統文化(2021.07.22)
  23. 刀剣修復家は霊能者(2022.01.27)
  24. だいたいは外国人相手の商売だった?(2022.01.31)
  25. 世界中からご依頼があります(2022.02.01)
  26. 報道一覧(2022.02.02)

追記1:マスコミ報道は要注意

 当該業者は最近「伝統の担い手」として新聞や雑誌に取り上げられる機会が増えているようです。しかし、ある著名な刀剣の専門家に聞いたところ、そんな人は知らない、聞いたことがないとのことでした。何かうまい方法を使って自分をマスコミに売り込んでいるものと思われます。おそらく新聞社・雑誌社の人は、この業者の背景を取材したり、実際にこの業者に刀剣の修理を依頼したことのある人を自力で捜し出し、取材をするといった労は執っていないものでしょう。この業者の言うことを鵜呑みにして記事を書いているようなのですが、そうしてなされる報道がこの業者に誤った信用を与え、それが被害を広げる結果につながることに懸念を抱かずにはいられません。(2018年08月17日)

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追記2:ウェブサイト閉鎖か?

 いつの間にか当該業者のウェブサイトにアクセスできなくなっていました。ドメインが失効しているようです。Wayback Machine に残されている最後のアーカイブは2018年8月27日のもので、それを見ると著作権表示は2007年になっていました。そのサイトによる集客を10年以上行っていたことになります。なお、ブログやフェイスブックは引き続き閲覧が可能であり、インターネットでの集客をやめたわけではないようです。(2019年04月21日)

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追記3:実は骨董業者だった?

 当該業者は古物商の許可を取得していることがわかりました。そのことは意図的に伏せているようですが、修理にかこつけて、その実、めぼしいものを物色しているということでしょう。修理のために、この業者に刀剣を預けると、聞いてもいないのに骨董品としての市場価値の話を始め、二束三文での売却を迫られるようですが、これは職人として責任をもって仕事をやり遂げる姿勢が欠けていることを示すものに他なりません。インターネットほかメディアでは盛んに職人としての自分をアピールしているのですが、その裏側に別の顔を隠している点には気をつける必要があるでしょう。(2020年01月19日)

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追記4:新ウェブサイトは通販機能なし

 当該業者が以前と異なるドメインで新たなウェブサイトを立ち上げていることがわかりました。勝山受刑者の逮捕前から使用していた武士云々の商号は引っ込めたようです。また、以前のように刀剣修理のネット通販サイトという体裁はとっていないようですが、インターネットで刀剣に詳しくない人を呼び込み、トラブルを仕掛けて搾取する勝山的な商売のやり方を改めたと信じるに足る材料は今のところ見当たりません。引き続き注意が必要でしょう。(2020年07月07日)

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追記5:海外進出?

 当該業者のフェイスブックの記事の大半が、いつのまにか英語に書き換えられていることがわかりました。日本国内での営業に行き詰まって海外に活路を見いだそうとしているのでしょうか? これまでは刀剣の市場価値に詳しくない日本人を相手にした商売のようでしたが、今後は外国人を相手に怪しげな日本文化を売り込むつもりかもしれません。国益を毀損するおそれのある憂慮すべき事態です。(2020年12月12日)

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追記6:出自は武家?

 当該業者は「刀剣売買という行為が嫌いだ。武家の魂を切り売りする様な虚しさを感じるからだ」で始まるツイートを2016年10月17日 17:27:42 に行っています。自分は商行為を下に見る高貴な武人だと言いたいのでしょう。ところがおもしろいことに、このツイート、自分が仕入れた刀を「出世させて見事重刀に合格。先日書籍に載ってるのを見つけ」と続いていくのです。出世? 見事? 書籍に載る? 自分が修理した刀剣は骨董品としての市場価値が大化けします、という生臭い宣伝なのでしょうが、それが武士道から逸脱していることがわかるだけの素養さえ、この業者には備わっていないことを露呈する内容です。そもそも、この業者は武家なのでしょうか? 顧客に送りつけた電子メールにも時代錯誤の身分差別的な発言が含まれるのですが、はっきり言って悪意のある外国人による時代劇のパロディーとしか思えないような内容です。この業者は文化講座の講師のような活動もしているらしいのですが、本当に日本の文化や伝統を理解しているのかどうか、極めて疑わしい人物と言わねばなりません。(2021年02月23日)

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追記7:刀剣修復家? 刀剣修復士? 刀剣修復師?

 勝山智充受刑者は自分のことを「刀職」と呼んでいますが、この業者は自分のことを「刀剣修復家[●]」や「刀剣修復士[●]」と呼んでいます。なお、自分の師匠のことは「刀剣修復師[●]」と呼ぶことで自分と区別しているようですが、それがどこの誰なのかは明らかにしていません。狭い業界でしょうから、該当する人はそんなにいないはずなのですが、ならば正々堂々と誰々の弟子と名乗ればよさそうなものです。そうできない事情があるのではないかと思われても仕方のない状況でしょう。それはともかく刀剣修復うんぬんという肩書を名乗っている人は、この業者の他にはいないようですので、おそらく自分で考案したものでしょう。たとえば勝山剣光堂事件の刑事裁判で証言台に立った故・勝山捷容氏は自分の職業を問われて「白鞘[しらさや]師・白銀[しろがね]師」と答えています。また、自分が誰について修業したのかも業界紙のインタビューで明らかにしています。このように自分の専門分野と師匠筋を明確にするのが本来の伝統に忠実なあり方だと思いますが、そこをあえて曖昧にしながら集客を行っているところが、勝山受刑者と、この業者の共通点であり不審なところでしょう。勝山受刑者と同様に、この業者は何かあるとすぐに攻撃的なメールを送りつけてくるようですが、それは刀剣の修理全般がワンストップで可能なように宣伝しておきながら、実際には自分に可能なことが限られているのを、依頼者のせいにして、ごまかす意図があるものと思われます。(2021年05月07日)

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追記8:古物商許可番号を自ら公表

 この業者が個人名で登録している Facebook に古物商許可番号が表示されていることを確認しました。刀剣の売買を業として行っていることを公に認めた形でしょう。なお、この人物は刀剣業者の間では同業者とは見なされておらず、カルチャー教室の講師のようなことをしている人というぐらいにしか考えられていないという話を聞きました。インターネットで引っかけた素人に対しては、やたら高飛車に出るこの人物、玄人の世界では、ほとんど相手にされていないというのが実情のようです。(2021年05月09日)

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追記9:刀剣買い取り業者と業務提携!

 とある刀剣買い取り業者のサイトに、痛んだ刀剣も積極的に買い取っており、当該業者に修理を委託しているという話が写真入りで紹介されています。いつごろから、そうした内容が公開されているのかは不明ですが、おそらく刀剣修理ネットショップの閉鎖以降でしょう。ネットショップを通じて修理を申し込んできた人に、いいかげんな理屈を吹き込んで所有権を放棄させた「お刀」「文化財」「武士の魂」は、こうした買い取り業者のもとに持ち込まれ、換金されてきたということだと思います。(2021年06月17日)

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追記10:古文書に精通?

 とある総合週刊誌の2018年4月5日号は丸1ページをこの業者に割り当て、「国会図書館にこもって古文書を読み込む職人はそうはいないだろう」と述べています。この業者はあれだけ、あちこちで居合をアピールしているのに、古文書への言及が、今のところ、この記事しか見当たらないのは奇妙です。また、古文書に精通している割には、この業者の語る歴史観や文化観は、恣意的でご都合主義的なもののように思えるのです。しかし、もしかすると本当に古文書に精通しているのかもしれず、他人に刀剣の所有権放棄を迫る論拠を、実在する古文書から得ている可能性がまったくないとは言い切れないでしょう。一口に古文書と言っても、いろいろあるからで、自分にとって都合のいい古文書だけをピックアップすれば、自分にとって都合のいい理屈を組み立てることも可能になるであろうからです。この記事は、そうしたやり口の伏線ではないかと思います。(2021年06月21日)
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追記11:全ての工程を1人で仕上げる数少ない職人?

 2017年3月9日付の、とある全国紙の地方版は囲み記事でこの業者を取り上げ「分業が一般的な刀剣修復の世界で、全ての工程を1人で仕上げる数少ない職人だ」と紹介しています。この業者が柄巻と研磨を自分でやるらしいことは公開された写真などから事実と考えてよさそうなのですが、それ以上のことは複数の証拠から外注か、でなければ素人工作と考えられます。それに、全ての行程を1人で仕上げる職人が少数ながら、この業者の他にもいるのなら、ぜひ、そちらの取材もやるべきでしょう。もっとも、素人で何でも自分でやる手先の器用な人は別としてです。刀剣愛好家の中に、そういう人がいることは個人的にも知っています。その腕前は玄人はだしですが、あくまで趣味としてであり、報酬を得て人さまの刀剣に手を加える 職人[●●]とは明確に一線を画しています。ともあれ、勝山受刑者の逮捕報道以降に、こうした記事が社会の公器たる新聞を通じて世の中に流布されたことは残念と言うほかありません。そのせいで、この業者とのトラブルに巻き込まれる人が増えたに違いないからです。(2021年06月22日、追記1および7の注釈だったものに加筆)
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追記12:刀剣修復の意味

 当該業者の新しいウェブサイトの冒頭に、次のような記述があることに気づきました。

刀剣修復とは
日本刀の状態を確認したり、修理し、使用可能な状態に仕立てる一連の工作のことで、伝統工芸技法を用いることが特徴です。厳密には、鞘師、柄巻師、研師、塗師、白金師など、さまざまな刀剣職人が、分業で一振りの刀剣を製作しています。どの職人を除いても、日本刀は完成しません。

それはそれでよいとして「刀剣修復家」や「刀剣修復士」と名乗っている自分自身は、いったい何をする人なのでしょうか? 自分に免許皆伝を宣し独立開業を許した「刀剣修復師」とは、いったいどこの誰なのでしょうか? こうしたことは勝山受刑者の「私は刀職だ」と同じで、刀剣に詳しくない人を丸め込んで古い日本刀を手放させるための口実になっているとしか思えません。少なくとも「刀剣修復」が伝統的に使用されてきた言葉でないことだけは確かです。伝統文化の仮面をかぶってはいるが、その実態はインターネットを使った金儲けでしょう。刀剣の市場価値に詳しくない人からの修理の依頼は、ただ同然のコストで換金可能な物を手に入れるチャンスです。この業者が盛んにアピールしている “文化財の保護を使命とする伝統工芸職人” というのは、そうした実態を覆い隠すための虚像でしょう。この業者が得意とする居合だの古文書だのの派手で気負った伝統文化パフォーマンスも、同じ目的による欺瞞と見た方がよいと思います。(2021年06月24日)

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追記13:随筆の中身

 とある公益財団法人の発行する月刊誌の2018年1月号に、この業者の寄稿した随筆が掲載されています。随筆ですから何を書こうが随意。その内容にいちいちツッコミを入れるのは野暮というものですが、この業者はそれを盛んに自分の宣伝に使ってきた事実がありますので、ここで取り上げることにも意味がなくはないでしょう。端的に言えば何が言いたいのか、よくわからない内容です。たとえば何の脈絡もなく、まったく唐突に次のような文章が出てくるのですが、その意味が理解できるのは執筆者本人だけでしょう。

もし、総合的な情報発信の場があるならば、それは普遍的な継承事の中に見いだすことができるかもしれない。

おそらく「総合的な情報発信の場」とは掲載誌のことで、「普遍的な継承事」とは、その主題である武道全般のことであろうとの察しはつきます。雑誌の発行者である財団に色目を使っているところだろうとの推測はできるのですが、それにしても意味の通らない文章です。そして、この文章は次のように続くのです。

私は、武道探求の道の中にこそ、伝統文化をより深く理解するための多くの要素が内包されていると考えている。

こちらは先ほどの文章に比べれば、まだ理解しやすいでしょう。「武道探求の道」とは自分が居合をやっていることを指し、「伝統文化」とは自分がやっている商売を指すものと考えられます。つまり、刀剣関係の職人や業者の大半が武道家でないことを暗に批判しており、自分はその人たちよりも日本刀をより良く理解できる立場にあると言いたいわけです。ひいてはそれが、修理の依頼者に上から目線で露骨に馬鹿にしたメールを送りつけることを「教育的指導」、刀剣の所有権放棄を執拗に迫ることを「文化財の保護」として正当化すると言いたいのでしょう。
  いずれにせよ、こうしたものが武道関係の公刊物に掲載されたことで、この業者にとっては、そうしたビジネスが相当やりやすくなったものと思います。日本刀からの連想で殿様商売を気取っているのかもしれませんが、この業者が送りつけてくるメールに書かれた激しい罵倒や、ねちねちした嫌み、皮肉、当てこすりの数々は、どう考えても「伝えるべき伝統の心」(随筆の表題)ではありえません。もしかすると職人としての修業中に、ひどいいじめを受けたことで、自分が独立開業したら、それと同じ「伝統の心」を修理の依頼者にも「伝えるべき」と思ったのかもしれませんが、もしそうなのだとすれば、その程度の人間に弟子入りを許し、免許皆伝を宣して「刀剣修復家[●]」として世に送り出した「刀剣修復師[●]」というのは、いったいどこの誰なのかという疑問に必然的に行き当たるでしょう。ところが、その点に関しては、まったくと言っていいほど情報がないのです。これだけメディアに自己露出して伝統伝統と繰り返し唱えている業者にしては、極めて不自然なことと言わねばなりません。(2021年06月26日)

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追記14:多能の拵師から万能の刀剣修復家へ

 とある大手企業の社内報と思われるもの(第74号、2012年7月)が、この業者の紹介に紙面を割いているのですが、その中に次のような記述があります。

拵と研ぎを一人でおこなうことができるのは唯一[2字削除]さんだけである。修復のための漆塗りや柄糸の染色もおこなっているため拵師という名称も使っている。

この「拵[こしらえ]師」という言葉もまた、刀剣修復師や刀剣修復家と並んで、この業者が独自に編み出した「伝統」のようです。拵とは刀剣の外装全体を指す言葉ですが、それではなんだか外装全体を、この業者が独りで作ることができるみたいでしょう。ところが実際には、そうではないらしいことが上記の引用部分からうかがえます。が、しかし、それから5年後の2017年までに、この業者は「分業が一般的な刀剣修復の世界で、全ての工程を1人で仕上げる数少ない職人」へと劇的な進化を遂げるのです。なんと5年以内に鞘[さや]師、鍔[つば]師、銀[しろがね]師ほか、もろもろの技能のすべてを習得したことになりますので、これは並大抵のことではありません。しかも2012年の段階で「拵師」と研[とぎ]師を独りで兼ねられるのは唯一この業者だけだったのが、2017年までには全技能を身につけた職人が、この業者の他にも誕生していることになるのです。某全国紙に、さりげなく触れられていますが、実はそっちの方が報道に値する重大事実でしょう。半年のうちに5回逮捕のうえ6回起訴された勝山受刑者に勝るとも劣らぬ超絶ぶりですが、この業界は、そうした人材に事欠かないものと見えます。(2021年07月01日)
 

 毎日放送「変身忍者 嵐」1972年〜1973年
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追記15:私の目標は真実の探求、ただそれだけなんです

 2017年4月30日に発行された、とある雑誌の第14号に、この業者のインタビュー記事が掲載されています。その中でこの業者は、次のように語っているのです。

10年間の修行を経て独立。以来、私が刀剣職人としてこだわっているのは、刀身から外装までをトータルに手がけることです。普通は、「研ぎ師」「鞘師」「塗師」「柄巻師」などが協力して、完全分業制で修復しています。しかし、今は全体のまとめ役が不在の時代。それでは各パーツが自己主張してしまい、トータルバランスが崩れてしまいかねないと思うからです。

伝統伝統と言い立てる業者にしては妙な横文字の多用が気になるのですが、それはさておき「今は全体のまとめ役が不在の時代」と述べています。ということは、過去にはそういう役割の人が存在していた時代があったという意味でしょう。自分の仕事は、それを復活させた伝統的なものであると言いたいわけです。しかし、信頼できる刀剣店に修理を依頼すれば全体の釣り合いを考えて発注を行うだろうし、受注した職人も全体を見ながら自分の仕事をするので、この業者が言っているようなデタラメな結果には、まずならないはずです。そもそも独裁的なリーダーによって指導されなければ全体が混乱に陥るという考え方は、日本の風土や、それによって培われた伝統には、なじまないでしょう。さて、上に引用した、この業者の発言は次のように続きます。

研ぎを極めるだけでも時間がかかるのに、刀剣の鞘もつくり、鞘に漆を塗り、柄に柄糸を巻く。いくら時間があっても足りません。1年間で10本修復できればいい方です。それでも一人で全てを手がけたいのは、最初に刀剣をつくった刀工の意図に合った修復を実現したいから。私の目標は真実の探求、ただそれだけなんです。[強調引用者]

複数の職人を一元的に管理・監督する話かと思えば、自分一人で何でもこなす話だったりと、話の焦点が定まらないのですが、このあたりは意図的に曖昧にしてあるのでしょう。なお、このインタビューは時期的に、某全国紙の報道に触発されて企画されたものと考えられますので、先行する記事との整合性に腐心した結果にも見えます。つまり、外注のことに話が及びそうになったので「私は職人の元締めだ!」とたたみ込んで体面を保とうとしたのではないでしょうか? ところが、それだと自分一人で何でもやる職人という話と噛み合わなくなることに気づき「真実の探究」などという、あさっての方向に話を飛躍させたように見えなくもありません。インタビュアーに刀剣に関する知識はゼロでしょうし、いま記事を読んでも極めて好意的な姿勢の取材であったことに疑いの余地はないので、その方法でインタビュアーを丸め込むのに成功したということだと思います。
  なお、たとえ当代一の研ぎ師でも、自分が依頼に応じて刀を研ぐことを「研ぎを極める」とは言わないでしょう。この業者の話は完全な創作でないとすれば、さまざまな脚色、誇張、歪曲、ごまかし、まやかしが随所に入り込んでいると見るべきです。(2021年07月03日)

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追記16:腕時計の復刻は日本刀の修復に通じる?

 とある男性向け雑誌の2019年9月15日号で、外国製高級腕時計の宣伝にこの業者が起用されています。その内容は雑誌の公式サイトにも掲載されており、今でも簡単にアクセスすることができるのですが、その影響で、この業者を信用する人が増えることが懸念されます。
 ほんの数年前まで、日本刀修理の看板を掲げてインターネットで集客を行っていたのは、勝山剣光堂と、この業者だけでした。発見刀の所有者が、このいずれかに連絡を取るケースは非常に多かったものと思います。調べてみるとネット通販は勝山剣光堂が1996年ごろから、この業者が2007年から始めていますので、この業者が商売を始めるにあたって勝山剣光堂の “成功例” を参考にした可能性は非常に高いでしょう。実際問題として、オカルトめいた刀剣文化論や身分差別的な発言など、この両者は言うことがとてもよく似ているのです。手先で仕事をするよりも、口先で骨董品(お刀、文化財、武士の魂)を手に入れることの方が実際には多いのではないでしょうか?
  2016年5年に勝山受刑者が逮捕されたことで、それ以降、インターネットの刀剣修理は、この業者の独壇場になったかに見えます。2019年の春ごろまでに通販サイトは閉鎖したようですが、別なサイトを立ち上げるなど、その後も形を変えて集客は続けているように見えます。それに加えて、2017年3月の某全国紙による報道を皮切りに、この業者は短期間のうちに繰り返し「刀剣修復家」として、さまざまな雑誌に取り上げられているのです。それには相当な宣伝効果があったに違いありません。しまいには高級腕時計のイメージ戦略に起用されるぐらいですから、それを目にした人が、社会的に信用された腕利きの職人として、この業者を受け入れたとしても少しも不思議はないでしょう。(2021年07月05日)
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追記17:もっと即席の変身でした

 追記14で紹介した、とある大手企業の社内報と思われるもの(2012年)と、追記11で紹介した某全国紙による報道(2017年3月9日)の間を埋めるものとして、2015年12月25日に発行された単行本があります。さまざまな伝統工芸の若手職人計8名を紹介する内容で、その中に「刀剣職人」または「柄前師・研ぎ師」として当該業者が含まれているのです。他の雑誌などに見られる「拵師」や「刀剣修復家」といった、この業者に独特の表現は見られないのですが、おそらく編集の方針で排除されたのでしょう。その代わりに「僕のように刀身と外装のどちらも手がける職人はまれ」という当該業者の発言が収録されています。「刀身」とは研ぎのことで、「外装」とは柄巻のことと理解できるでしょう。なお、追記14の中で、この業者は「5年以内に鞘師、鍔師、銀師ほか、もろもろの技能のすべてを習得したことに」なると述べました。この書籍の情報を加えると、その期間が、ほぼ1年以内に短縮されることになります。それが何を意味するかは言わずもがなでしょう。
  この本は、後継者不足に悩む伝統工芸の世界で活躍する若手を応援するという善良な意図のもとに企画・出版されたものと思います。しかし、刀剣業界は換金性の高い品物を扱うこともあり、情報の透明性が他の業種に比べても極端に低く、詐欺や横領が多発する一方で、それが表面化しにくい特殊な環境にあるのです。その中でも勝山剣光堂と並んで、この業者はインターネットの特性を利用して無知な素人に狙いを定める、特に先鋭化した存在と考えられます。この本の編集者は、おそらくインターネットで情報収集を行って、この業者に白羽の矢を立てたものと思いますが、社会的な影響の大きさを考えると、1冊の本を世に問うのは、もっと背景の取材を丹念に行ってからにすべきだったと言わざるを得ないでしょう。(2021年07月07日)
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追記18:やはり古文書の話は怪しい

 追記13で紹介した随筆の第2段落は、次のように始まります。

 幼少のみぎり、はじめて居合演舞を目の当たりにした時、雷に撃たれたような衝撃を受けた。その時の心揺さぶられた体験は「感動」そのものであって[以下略・強調引用者]

掲載誌の発行元にも編集者がいると思うのですが、この随筆は読者からの投稿という扱いだったのか、そのまんま載せられているようです。どうやら自分は位の高い武家の出(ないしは、その生まれ変わり)だと言いたいらしいのですが、これで、この業者が古文書に精通しているという話は、だいぶ疑わしくなりました。それにしても、この随筆の表題が「伝えるべき伝統の心」だというのは悪い冗談としか思えません。雑誌の発行元である財団の見識を疑いたくなります。(2021年07月09日)

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追記19:所属団体について

 日本刀関係の、とある公益財団法人のウェブサイト内に「研磨・修復のご相談」というページがあります。おそらく最近設けられたものでしょう。信頼できる刀剣業者と、そうでない刀剣業者を見分けることは素人には事実上、不可能と言ってよく、研磨や修復の費用についても、いくら用意すればいいのか、まったく見当がつかないのが普通だと思います。その点、こうした財団を通じてであれば、修理に出した刀剣を返してもらえなくなったり、相場から大きくかけ離れた料金をふっかけられたり、金具をすり替えられたり、素人工作を施されたり、武士道の説教を聞かされた上、二束三文での売却を繰り返し迫られるような心配は、まずないでしょう ── と、言いたいところなのですが、問題の業者が自分で公表している経歴によれば、2011年から2014年までの3年間は、まさにその財団の役員をしていたことになっているのです! 現時点での財団との関係は記載がないため不明ですが、この財団を通じて研磨や修復を申し込むと、この業者か、その仲間を紹介される可能性は考えておいた方がいいかもしれません。
 なお、役員を退任した直後の2015年から2018年までの3年間は、それとは別の財団の傘下にある刀剣関連団体の会員ということになっています。会員になるのは会費さえ払えば誰にでもできることなので、特に公表すべき経歴でもないように思うのですが、それにしても、たったの3年で退会しているのは、なぜなのでしょうか? その理由が気になります。(2021年07月11日)

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追記20:二度と伝えるな詐欺と横領の屁理屈

 問題の業者による随筆の表題は「伝えるべき伝統の心」ですが、どうやらこれは掲載誌の発刊当時、発行元が販促に力を入れていた書籍『伝えたい日本のこころ』を強く意識したもののようです。掲載誌に1つのページ全体を埋める大きな広告が出ているのです(右画像)。
 2017年3月9日から2019年9月15日にかけての2年半の間に、この業者が新聞や雑誌に取り上げられた事例は確認できただけで6件もあります。それらがいずれも勝山受刑者6度目の起訴(2017年1月24日)から刑務所に収監される(2019年9月19日)までの間に出されたものであることを考えると、異常事態と言うより他はないでしょう。同業者の失墜をチャンスと見てビジネスの急拡大を図ったのか、あるいは種の絶滅の危機と捉えて必死で生き残り策を講じたのか、それとも民事・刑事の両法廷で全面的に争う同志に声援を送る意図があったのかは不明ですが、いずれにせよ、この業者は「人を欺いて財物を交付させ」るための理屈を他人に伝える前に、まずは自分自身が恥を知る心を身につけるべきです。(2021年07月13日)
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追記21:万能の刀剣修復家は全能の神の使い

 「日本文化を世界に発信する」ことを目的とする一般社団法人の活動の一環で、この業者は2014年5月にインドネシアを訪問し研磨の実演を行っているようです。そのことを報告する当該法人の発行物に「日本の伝統文化を知る」として、こんなことが書いてありました。

柄前師が刀剣外装の製作・修復を手掛けることは、元来「神格化されたお刀の御召し替えを奉る神事」としての性格がある。そのため工作を行う際には、身体を清めて心を鎮めて執り行うが[以下略・強調引用者]

これは日本の伝統文化とは違うのではないでしょうか? 業者による作り話でないとすれば、土俗的な信仰が濃厚に残る閉鎖的な地域での話のように聞こえます。もちろん職人が精魂を込めて仕事をすることは当然あってしかるべきでしょう。それを世人が神業と呼んで畏敬の念を抱くことは、あってもおかしくないと思います。また、職人が作業に取りかかる前に神棚に参るとか、その際に、念入りな作法にのっとることがあったとしても別段不思議はないでしょう。しかし、だからと言って職人が自分を神職として、自分の作業を神事としてあがめるよう他人に求めることには大きな違和感を覚えるのです。まるで新興宗教の教祖が呪物に気を込めて信者に下賜するかのような気味の悪い話でしょう。あるいは怪しげな装束を身につけた占い師が、儀式めいた所作をわざと見せるかのような卑俗さを感じます。そうした、おどろおどろしい「文化」を口実として「お刀」=「神」を人質に取った上で、修理の依頼者に自分の要求を突きつける「伝統」を、この業者は「刀剣修復師」だという自分の師匠から継承したのでしょうか? だとすれば、その刀剣修復師とやらは、どういう文化的・宗教的背景の人なのでしょうか? あるいは、この業者は国会図書館に収蔵された古文書の中に、そうした「秘伝」を見いだして現代に復活させたとでも言うのでしょうか?
 いずれにせよ、こうした霊感商法ないしはカルト宗教と呼ぶべき悪質なものを修理の依頼者に押しつけるに飽き足らず、日本の文化として海外に発信するのは即刻やめていただきたいと思います。(2021年07月17日)

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追記22:うそとパクリの伝統文化

 追記21で言及した一般財団法人ですが、どうも2014年5月以降は、この業者とは縁が切れているようです。その後も日本刀に関する企画は散発的に行われているようなのですが、この業者の名前がまったく出てこないのです。その理由は不明ですが、おそらく刀剣についての企画を繰り返すうちに、この業者の言っていること、やっていることのおかしさに気づいたということではないかと思います。
 ちなみに、この業者は「日本刀の文化を世界に向けて発信したい!」として、クラウドファンディングで資金を集めて2016年2月にインドで開催された第30回スーラジクンド国際工芸祭[メラ]に個人で出展していたようです。ところが、そのことを裏付ける情報が、ほとんどまったくと言っていいほど見当たりません(日本から参加した若い女性の和太鼓奏者は現地で人気があったようなのですが)。おそらく組織的な後ろ盾がなかったためでしょう。2年前のインドネシアとは打って変わって、これと言った見せ場がお膳立てされたわけでもなければ、あえてこの業者を取り上げるメディアもなかったということのようです。それに懲りたか、その後は海外発信の話はすっかり途絶えているかに見えるのです。
 伝統の継承だ、武士の身分だ、神だ宗教だと言い立てるほどに着物の裾から尻尾が見える、この業者。結局は外国人相手の、みやげもの屋にでもなるか、国外でそうしたものを売るより仕方のない存在ということかもしれません。さまざまな情報から判断して、この業者が職人としてある程度の技能を身につけていることは事実のように思えます。しかし、それ以前の問題として、言っていること、やっていることが不誠実にすぎるのです。誰か立派な職人のもとに弟子入りをしたという話が事実であるとすれば、その後、何か極めて不名誉な問題を起こして破門・絶縁されているのではないでしょうか? 確証があるわけではありませんが、そのように仮定すると、この業者に関する、さまざまな疑問に説明がつくようになります。この業者の修業時代を知る人たちは、あえて沈黙を選択し、この業者のやることには一切かかわらないようにしているように見えるのです。
 こうした怪しげな業者に本物の日本刀の修復を依頼することを思いとどまる人が増えることを、うそ偽りに満ちた説教を聞かされて望まない取引を押しつけられる人が減ることを、そして、大切な刀の一部ないし全体を、だまし取られる人がいなくなることを願わずにはいられません。(2021年07月22日)

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追記23:刀剣修復家は霊能者

 当該業者は活字メディアだけでなく民間BS放送の、さまざまな職業を紹介する番組でも「刀剣修復家」として取り上げられていたことがわかりました。その番組は2018年7月13日に放送されたようですが、刀剣に関する知識がまったくないお笑い芸人がレポーターとなり、最初から最後まで、ひたすら、ありがたがるという内容です。そうした扱いを業者側から局側に対して事前に要求していたのではないかという疑念がここで生じます。やれ伝統の継承だ武士の身分だ神だ宗教だと御託を並べて修理の依頼者を執拗に非難攻撃するやり口と、狙いが一致するように思えるためです。
 番組の締めくくりにあたり「仕事とは?」と問われた当該業者が「真実の探求」と答えるのは追記15で取り上げた発言とも重なるのですが、その意味を当人が番組の中で次のように説明しています。

日本刀を触っているとですね、あの、今まで言われていた歴史だとか、正しいとされていたものが必ずしも正しいとか、真実であるとはかぎらないんです。日本刀を通して本当のことがわかってくる。ということで、私の中では大きな発見につながっています。

にやけ顔で前後に首をひょこひょこ動かしながら、ときどき小声で言葉を濁す様子からは武士の威厳や貫禄など、みじんも感じられません。文章がおかしいのは口語だから仕方がないとして、要点と思われる部分を赤で示しておきました。どうやら日本刀にはオカルト的なパワーが宿るので、それに日常的に触れている刀剣修復家は霊感が発達し、普通の人には知り得ない「真実」が見抜けるようになると言いたいようです。これは刀剣修復は神事であるという追記21で取り上げた話と同様で、実にうさんくさく、いかがわしい話と言わねばなりません。そういうことを言っておけば何も知らない他人を感服させられると思っているのでしょう。また、自分にとって都合のいい要求を修理の依頼者に突きつける際の口実にする意図もあるように思えます。神だの霊だので脅すことにより、相手が何も言えなくなることを狙っているのです。古く傷んだ日本刀が家にあって修理業者を探している人は、こうした霊感商法と呼ぶべき手段によって自分の目的を遂げようとする詐欺師に気をつけていただきたいと思います。
 マスメディアには社会的な責任があります。素人目線の親しみやすい番組作りもいいのですが、何も知らない芸能人を撮影現場に行かせる前には、番組スタッフが、ある程度の背景取材を済ませておくことが不可欠でしょう。でないと世の中に間違った情報と有害な影響を広げることになってしまいます。(2022年01月27日)

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追記24:だいたいは外国人相手の商売だった?

 これまでも見てきたように、この業者の言うことを額面通りに受け取ることは難しいのですが、どうやら外国人相手の商売をやる中で、自分をラスト・サムライとして演出する、わざとらしい営業スタイルを身につけたようです。追記23で取り上げたテレビ番組の中で、刀剣職人には、それぞれに専門分野があり分業で仕事をするのが普通だとレポーターに言われて、次のように応えているのです。

本来はそうあるべきなんですけども、あの、私の場合は外国からのお客さんなんかも多いので、どうしても自分で、やらざるを得ない。

この理屈には承服しかねます。相手が日本人だろうが外国人だろうが、やるべきことは同じでしょう。ところが相手が外国人なら「本来そうあるべき」でない仕事の内容で通用すると自分で認めてしまっているのです。その態勢のまま刀剣に詳しくない日本人にまで商売の対象を広げたということでしょう。しかも、この業者が日本人に期待しているのは骨董品の放出です。刀剣の市場価値に詳しくない日本人をだまして格安で手に入れたものを海外に売り飛ばして収入を得ているということでしょう。そのように考えていくと、この業者は日本国内の刀剣業界では同業者として認知されていないという情報とも、つじつまが合うのです。(2022年01月31日)

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追記25:世界中からご依頼があります

 当該業者が刀剣修理の通販サイトを2019年4月までに閉鎖していたことは追記2で取り上げましたが、追記6で取り上げたツイッターのアカウントも、いつのまにか閉鎖されており閲覧できなくなっていることを、つい先ほど確認しました。この業者による自己宣伝は2018年あたりをピークとして、2020年以降は抑制気味のようです。もはやアグレッシブな宣伝活動を行わなくてもいいところまで知名度が高まったということかと思いますが、追記17で取り上げた単行本の26ページに、この業者による、こんな発言が紹介されています。

世界中から[刀剣修復の]ご依頼がありますが、一人で作業をこなすには限界があります

どんな作業でも一人でこなすスーパーマルチ職人という触れ込みなのに、実際には外注に回す部分があることを正当化する発言のように読めなくもありません。しかし、素直に受け取るならば、処理しきれないペースで全世界から依頼が舞い込む売れっ子だということでしょう。日本での集客に力を入れなくても別に困らないということだと思います。それはそれでいいとして、世界中の人を相手に「私は日本のサムライだ」「これが崇高なサムライの伝統文化だ」「シントーとブディズムの精神だ」などと、いいかげんなことを言いながらビジネスをしているのだとすれば、それはそれで見過ごせない事態でしょう。日本人に対して平気でそういうことを言うぐらいですから、外国人に対しては、もっとひどいハッタリをかましている可能性もあります。当該業者のフェイスブックの記事の多くが、ある時期から英語に書き換えられたことは追記5で取り上げましたが、当サイトでも刀剣修理詐欺に関する警告を、世界に向けて英語で発信すべきなのかもしれません。(2022年02月01日)

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追記26:報道一覧

  • 2012年07月、大手企業の社内報と思われるもの、第74号  追記14:多能の拵師から万能の刀剣修復家へ
  • 2014年05月以降、日本文化の海外発信を目的とする団体の発行物  追記21:万能の刀剣修復家は全能の神の使い
  • 2015年12月25日、各分野の若手職人を紹介する単行本  追記17:もっと即席の変身でした/追記25:世界中からご依頼があります
  • 2017年03月09日、全国紙の地方版  追記11:全ての工程を1人で仕上げる数少ない職人?
  • 2017年04月30日、雑誌(フリーペーパー)第14号  追記15:私の目標は真実の探求、ただそれだけなんです
  • 2017年12月28日、武道全般に関する月刊誌、第614号  追記13:随筆の中身/追記18:やはり古文書の話は怪しい/追記20:二度と伝えるな詐欺と横領の屁理屈
  • 2018年04月05日、総合週刊誌、第60巻 第13号  追記10:古文書に精通?
  • 2018年07月13日、民間BS放送の職業紹介番組  追記23:刀剣修復家は霊能者/追記24:だいたいは外国人相手の商売だった?
  • 2019年07月09日、刀剣専門の週刊誌、第4号(当該業者の作業場で撮影された写真が掲載されている。ただし当該業者への言及はない。)
  • 2019年09月15日、男性向けライフスタイル誌、第481号  追記16:腕時計の復刻は日本刀の修復に通じる? 
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関連情報

  • お刀業者にご用心 < 勝山剣光堂ニュース(2019年12月26日)

強制執行で刀剣回収

刀剣横領事件に巻き込...
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