日本刀の横領 被告無罪主張
福井地裁公判
福井新聞 2016年10月04日
客から預かった日本刀を横領したとして業務上横領などの罪に問われた福井市照手1丁目、刀剣類販売・修理会社「勝山剣光堂」代表取締役勝山智充被告(47)の第2回公判が3日、福井地裁であった。業務上横領と強制執行行為妨害の両罪の追起訴審理が行われ、勝山被告は「横領していない」などと無罪を主張した。
起訴状によると同被告は2014年12月ごろ、客から鞘の制作を依頼された際に預かった刀など(時価約72万円相当)を返却せず、刀の所有者名義を架空の人物名に変更するよう届け出し横領。また別の客が、同被告に修理依頼で預けた刀など(時価計約25万円相当)の返還を訴えた民事訴訟の判決で、引き渡し命令が出たため昨年9月福井地裁が引き渡しの強制執行をした際、同被告は偽って模造刀などを渡したとされる。
同被告は業務上横領の事件について、名義変更は「正当な理由があった」とし、強制執行行為妨害罪の事件については「偽って模造刀を交付していない」とした。
初公判で審理した銃刀法違反(所持の禁止)罪の事件のうち、罪状認否を留保していた模造拳銃の所持については起訴内容は認めた。検察側は追起訴する方針を示した。
この事件では、同被告から刀が返還されないなどとして刀剣愛好家らが9月、被害者の会を結成した。同会事務局によると約40人が参加。近く総会を開き、提訴に向けた方針の確認などを行うという。
出典
『福井新聞』2016年10月04日、26面