勝山剣光堂ニュース


勝山智充被告が見せる謎の証明書

勝山剣光堂ニュース 2018年08月24日

2015年7月に勝山剣光堂に対して行われた強制執行において、偽装工作が施された模造刀が回収されたことは『福井新聞』2016年7月28日の報道にある通りです。それにより勝山智充被告は強制執行行為妨害罪に問われているのですが、この他にもモデルガンを改造して実弾が発射できる拳銃を製造していることから、勝山被告というのは道具を使って自分で工作をするのが、もともと好きな人なのかもしれません。ただし本業であるはずの刀剣職人になるための修業は一切したことがないようです。そのため、こうした勝山被告のDIY趣味は顧客の刀剣に回復不能の損害を与えることにもなりました。にもかかわらず自分を「文化財」を守り伝える誇り高き「刀職」と呼び、その自分に敬意を示さない者は許さないと法廷で発言するというのですから、勝山被告は子供のころに、おままごとをやって遊んだことがないまま株式会社勝山剣光堂の社長になってしまったのかもしれません。ともあれ、こうした勝山被告の図画工作は文書の偽造にも及んでいる可能性がありますので、そのことを以下に見ていきたいと思います。

勝山智充被告が怪しげなNPO法人を主宰していることは『北陸政界』2017年1月5日の記事に言及されている通りです。勝山被告によれば、そのNPOはオーストラリアで植樹活動を行ったことにより「証明書」を「いただけた」のだとか。それは「全国的にも初」「民間レベルでは初のこと」だと勝山被告は力説するのですが、それが何という機関の発行した、どういうタイトルの文書かという説明は一切ありません。しかも奇妙なことに、その「証明書」には少なくとも2種類のバリエーションがあるようなのです。以下、この「証明書」に関係する複数の写真を確認しながら、逐次その謎に迫っていきたいと思います。

nhk.jpg【画像1】 勝山智充被告NHK出演時の写真。2005年3月ごろと思われます。アナウンサーが「証明書」を手にしているのですが、このような形で「証明書」がテレビに取り上げられて、勝山被告は、さぞ得意であったに違いありません。これは、ぜひ人に見せたい写真であろうと推察されます(画像をクリックすると拡大表示されます)。



earthday1.jpg【画像2】 舞台の上から「証明書」を見せる勝山智充被告。まるで水戸黄門の印籠でもあるかのようです。2005年6月17日、ガレリア元町商店街で開催された「アースデイふくい2005」において。





earthday2.jpg【画像3】 同上。よく見るとNHK出演時の「証明書」とは異なる写真が貼り付けられています。






certificates.jpg【画像4】 比較しやすいよう両方の「証明書」を並べてみました。貼ってある写真の他にも、いろいろと違いが認められますが、赤地に白抜きで「2004」と記されている点が共通しています。いずれも2004年の出来事に関する「証明書」ということでしょう。なお、勝山智充被告はNPO法人の活動で2004年6月末には実際にオーストラリアを3日間訪問しているようです。


newdegate1.jpg【画像5】 NHK出演時の「証明書」に貼り付けらているものと、まったく同じではないが、極めてよく似た写真。相前後して、ほぼ同時に撮影されたものと考えられます。2004年のオーストラリア訪問時のものですが、これを見れば「証明書」に貼り付けてあるのは勝山智充被告の個人的な記念写真であることが、わかるでしょう。


signboard.jpg【画像6】 画像5の看板を、より近くから撮影したもの。日本語で次のように書かれています。「西オーストラリア ユーカリ植樹事業/この事業は(社)国土緑化推進機構 (NALAPO) から緑の募金交付金の助成を受け、/地球温暖化をくいとめるための温室効果ガスであるCO2削減(炭素固定)を目的に、/緑のボランティアの協力により実施されたものです。/特定非営利活動法人EPO」 (1) 。ちょっと「てにをは」がおかしい気がしますが、NPO法人EPOが自主的に立てた看板であり、これ自体は何の証明にもなりません。ともあれ勝山智充被告は、この看板(の写真)を他人に見せたくて仕方がないのでしょう。なお、緑の募金とは、緑の募金法に基づいて森林の整備などを目的に農水相の定める期間内に行われる公的な募金です。なんと驚くことにEPOは国土緑化推進機構から実際に「西オーストラリア砂漠化地区におけるユーカリ植樹」の名目で2003年に150万円の交付金を得ているのです。これは、この「証明書」にまつわる最大の謎ないし闇の部分と言うべきでしょう。ひいては国土緑化推進機構および緑の募金の信用度が、この事実によって大きく低下したと言わざるを得ないように思います。 (2)

newdegate2.jpg【画像7】 アースデイふくい出演時の「証明書」に貼り付けらているものと同じではないが、それとよく似た写真。2004年のオーストラリア訪問時のものですが、こちらは、かなりあからさまな勝山智充被告の個人的な記念写真です。トラクターに牽引されるプランターに乗って植樹作業をしているところですが、NPO法人EPOには勝山被告の他に会員がいないのでしょうか? なお、「証明書」の写真を看板中心のものから自分中心のものに変更したのは、看板中心の写真にしても結局、そこに書いてある文字を読んでもらうことはできないことに気づいたためではないかと思います。

emblems.jpg【画像8】 「証明書」の下部に見られるマーク類を集めてみました。上がオーストラリア・オイルマリー会社(略称OMC) (3) 、左下がオイルマリー協会(略称OMA) (4) 、そして右下が勝山智充被告が主宰するNPO法人EPOのマークです。オイルマリーとは西オーストラリア原産のユーカリの品種で、油製品を作るために商業的に栽培されるもの (5) 。EPOは実際にOMCが実施するオイルマリーの植樹に参加したようなのですが、おそらくは資金提供の見返りに植樹の体験学習をさせてもらったという程度のことでしょう (6) 。「証明書」に貼り付けられた写真は、いずれも、その時に撮影されたものと考えられます。それにしてもEPOが取得したはずの証明書にEPOのマークがついているのはおかしいでしょう。EPOはOMAやOMCと対等の組織だと言いたくてマークを並べて見せたのでしょうが、それがかえって勝山被告が自分で自分に「証明書」を発行したことの証拠になってしまっています。

いずれにせよ、この「証明書」は公文書の体を成すものではありません。観光客向けに記念として発行される文書であれば、こういう形式もあり得るかもしれませんが、公的機関が真面目な目的のために発行したものでは、まずもってありえない体裁になっています。それがテレビで取り上げられたことにより、お墨付きを与えられる格好となったものでしょう。それ以後、勝山智充被告は福井県の環境アドバイザーに任命されたり (7) 、福井市環境パートナーシップ会議が開設する市民環境大学「エコカレッジ福井」の講師に就任したりするようになっていきます (8) 。しかしながら、NPO法人EPOのウェブサイトを見ても、勝山被告に環境問題について特段の見識があるようには見えません。もしも何か独自性のあるコンテンツがあるとすれば、それは2004年のオーストラリア訪問についてのものでしょう。しかしそれは、どうひいき目に見ても勝山被告個人の記念写真アルバムと言うべき情けない内容のものです。

ちなみに、2016年5月に警察が勝山剣光堂から押収した刀剣の中には、偽造された登録証がついているものがありました。2018年2月1日に福井地裁で開かれた公判において、検察官は勝山智充被告に対し、自分で登録証を偽造したのではないかと質問しているのですが、勝山被告はその質問への回答を避けています。


注記

(1) 英文は次のように読み取れる。「WESTERN AUSTRALIAN MALLEE EUCALYPT DEMONSTRATION / CARBON SINK PLANTING / This project has been carried out by Green Volunteers as a demonstration carbon sink. / The sink will absorb carbon gases and contribute to reducing global warming. / This project is sponsored by The National Land Afforestation Promotion Organisation (NALAPO) of / Japan. / Established 2004 / Managed by OMC and EPO」内容的には和文と大差ないと言ってよさそうだが、たどたどしく、文法的にもおかしなところがあることから、この英作文にオーストラリア側が関与している可能性は極めて低そうである。

(2) 国土緑化推進機構は「特定の事業者の利益のために行われる」事業を緑の募金交付金の対象外としている。しかしNPO法人EPOが同交付金を使用して参加したのは民間企業OMC(注記4参照)が商行為として私有地に実施する植樹の一部であった。なお、画像6の看板の英文にはOMCへの言及が見られるが、和文には見られない点に注意を喚起したい。

(3) Oil Mallee Company of Australia Limited (OMC)。OMA(注記5参照)によって1997年に設立された民間企業。2008年9月に別の民間企業 CO2 Group Limited に買収されて消滅した。なお、勝山智充被告がNHKに出演した際の「証明書」および画像6の看板にはOMCのマークが使用されている。

(4) Oil Mallee Association (OMA)。オイルマリー産業の振興を目的とする民間団体。勝山智充被告がアースデイふくい2005に出演した際の「証明書」には、この団体のマークが使用されている。勝山被告はOMAとOMCが、それぞれ別々に「証明書」を発行したと言いたくてマークを使い分けたのだろう。なお、この「証明書」の他にはOMAに言及した資料が見当たらないことから、NPO法人EPOとOMAの間に直接の関係はないものと考えられる。

(5) OMAの公式サイトによれば、同団体が普及に努めているオイルマリーは「原生するユーカリを遺伝的に改良したもの」genetically improved native eucalypts とのことである。なお、ユーカリを人工的に大量植樹するとユーカリ特有の物質により土壌が変質して他の生物が住めなくなるなどの理由により、かえって環境破壊が進行するとして、安易なユーカリ植樹には警鐘を鳴らす向きもある。

(6) OMCの2004年6月29日付のプレスリリースには、オーストラリアを訪問した「勝山智充博士」がウィルコック農園(個人所有)における植樹の開始に立ち会って儀礼的な演説をしたことと、NPO法人EPOが「最初の植樹」initial planting を行ったことが記されている。どうやらEPOが参加したのは本格的な植樹ではなく、耳目を集めることを目的としたイベントないしは国際交流会のアトラクションと言うべき性質のものであったようだ。それでも海外からの植樹への参加は関西電力に次ぐ2例目になることから、日本との関係強化に期待をしてOMCは「勝山博士」を歓待し花を持たせたのだろう。なお、勝山被告は高等学校を卒業していないことから、博士号を取得している事実はないものと思われる。

(7) 2009年から2016年までの名簿に名前が見られる。逮捕された年を最後として8年間続けたことになる。担当分野はエコライフ、省エネ・地球温暖化防止活動。

(8) 福井市環境パートナーシップ会議は福井市環境基本計画に基づき2001年8月に発足したが2015年3月に解散している。事務局は福井市役所別館4階の市民生活部環境課内に置かれていた。エコカレッジ福井は2009年4月から同会議の解散までの6期開設された模様。なお、勝山智充被告が講師を務めたのは2009年度、つまり最初の1期だけだったようである。

関連情報

詐欺師たちが隠れ蓑にする「NPO」と「肩書」< 「隣は詐欺師」――ついに来た「すぐそばに詐欺師」の時代 < 日経BPネット(夏原武)2014年08月07日 → Wayback Machine

備考

独自記事。もと「1年生福井市議の『疑惑の交遊録』」(北陸政界、2017年01月05日)の「備考」だったものに加筆した。

蛇足

右はカマンベールチーズ「マルビナ」のパッケージデザイン。無限に繰り返される自己言及「ドロステ効果」の動画化。Feliks Tomasz Konczakowski, "Star Trek Cheese GIF" (2017).

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